第二百四十一段:南海トラフ巨大地震の被害想定

 今年3月31日に国は南海トラフの巨大地震の被害想定を発表しました。
 表がその結果です。

 

第二百四十一段:南海トラフ巨大地震の被害想定

 

 マスコミでは、この中で最も被害の大きい死者29万8千人ということが大きく取り上げられました。
 しかし被害想定には多くの仮定、前提条件があります。

 

 まず仮定で最も大きなものは、断層の中で強い揺れを起こす場所はどこかということです。
 南海トラフ巨大地震の震源域は、伊豆半島の西から宮崎県沖まで非常に広い範囲です。
 その広い範囲の断層が同じような強さの揺れを起こすのではなく、場所によって非常に強い揺れを起こす所とそうでない所があります。
 震源域の中央付近か、陸に近いところか、断層の東側か、西側か。

 

 また、破壊がどこから始まるか、ということも非常に結果に大きな影響を及ぼします。
 ただこれらのことは科学的にどこ、ということは現時点では決めることはできません。
 したがって仮定することになります。
 ということで破壊の仕方で5ケースを仮定しています。

 

 次に津波ですが、断層面上のどこが大きく滑るか、ということで津波の高さや到達時間が変わります。
 津波に対しては11ケースを仮定しています。

 

 さらには、被害はその地震の起こる季節や時間帯によっても大きく異なります。
 まず冬の深夜
 みんながよく寝ていて、避難に時間がかかる時間帯。
 次に夏の昼間
 多くの人が昼食用の火を使っていて、海水浴を楽しんでいる人がたくさんいる時間帯。
 そして最後が冬の夕方
 夕食用の火を多くの人が使っており、かつ通勤・通学で多くの人が外を移動している時間帯。
 さらに風が弱いか、強いか
 風の強さによって火災の延焼が違います。

 

 様々な前提条件があるので、被害想定結果には大きな幅があり、その中で最悪のケースが29万8千人の犠牲者、ということです。

 

 犠牲者のワースト5は、①静岡県の約10万3千人、②和歌山県の約6万5千人、③高知県の約4万6千人、④徳島県の約4万1千人、⑤宮崎県の約3万9千人となっています。
 これら犠牲者の大半は津波によります。
 津波警報が出されても避難しないからです。

 

 ちなみに山口県の犠牲者は約500人です。
 ワースト5の県に比べると遥かに少ない数ですが、能登半地震の犠牲者が災害関連死も含めて約600人ですから、約500人でも大変な数と言えます。
 約500人のうち約400人はやはり津波の犠牲者です。

 

 国の被害想定とは別に、現在山口県は詳細な被害想定の検討を昨年度から進めています。
 結果は今年度末に公表される予定です。

 

 犠牲者の数が増えるか減るかは現時点では分かりませんが、数百人の犠牲者が出るという結果にはなるのではないかと思っています。
 実はその検討会の座長を私が務めていますが、犠牲者の数がどういう数字になっても、それをゼロにできると思っています。
 またゼロにしなければいけないと思っています。

 

 

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